自作詩歌 木洩れ日の記憶

  なんの役に


ガイドは周囲の山々の紹介を一通り終えると
この素晴らしい景観を形作っている森林の
気持のよい林間の路を歩きながら
立ち枯れの木々に生えているキノコを指差しながら
「これはサルノコシカケと呼ばれているキノコです
木が枯れた後にそれを分解して土に還してくれるので
森の掃除屋さんとよばれています」と明るく笑って言った
「みんな役に立っているん」だと私たちも明るく笑った
そうだこの世の中のものは互いに
みんな役に立っているんだ
自分はなんの役にも立っていないと考えるのはやめよう
シデムシ とか フンコロガシ とか
みんなひどいことばを投げつけているが
土の中の生きものや小さな生きものの命を含めて
私たちはどれだけ彼らの恩恵に
与(あずか)っていることだろう
私たちはみんな
お互いに
他者の命の存在なくて
自分の存在もないのだ