顔
人には顔がある
動物にもそれぞれ顔がある
もしかして ものにはみんな顔があるのかもしれない
なんにでも顔を見てしまう私
幼い時は 天井や壁の板目の模様も顔に見え
木の幹の小穴やウロや瘤が目や口に鼻にさえ見えた
雲の形と陰影に、奇妙な石の形と模様に
どんなものにも目鼻のある顔に見立てたがるのは
私だけだろうか
そうして そこに何かものの魂や心が
宿っているような気がしてしかたがないのだ
いいや きっと子どもたちはみんな
そこに新しい発見と冒険を夢見ているに違いない
それほど顔にはそのものの存在感がうかがわれる
顔というものは奇妙なものだ
顔というものがなければ世の中の存在という存在は
なんと空虚な魅力のないものに見えるだろう
その顔に現れるたくさんの表情が人の心にさまざまな
感情を呼び起こし 私たちの生活に彩りを与えてくれる
憤怒 悲しみ 恥じらい 苦しみ 歓喜 怖れ
人間は その表情にさまざまなメセージを読み取る
生きている魂が語りかけてくる何ものかを―――
そしてすべてのメセージはみんな顔を持っているのだ
そう考えると、この世界はなんとさまざまな物語に
不思議な出来事に満ちていることだろう
そして なんと驚きと楽しさに満ち溢れているのだろう
私たちは常に子どもに夢を与える素敵な顔を
伝えたいメッセージをたくさん携えて
大切に持ち歩きたいものだ