ものの名前
ものにはみんな名前がある
花にも木にも動物にも
山にも川にもみんな名前がある
そして人間には一人ひとりに名前が付いている
これはみんな人間が付けたものだ
これはものを区別するためなのだろうか
いや それ以上のものが
名前には込められているように
私には思われるのだ
幼くして視力と聴力を奪われるという
最高の不幸に襲われながら
後に奇跡の人と呼ばれたあの人も
ものに名前があること
ことばの存在を知ったことが
あの素晴らしい聡明な女性に
成長する転機となったのだ
ものの名前を知ることは
すべての知の始まりである
人はどんな気持ちで、どんな意味を込めて
ものに名前を付けたのだろう
ときには畏敬をこめて、ときには親しみをこめて
その名を呼んだのだろう
きっとその名前にいのちを見ているのだろう
人の名前にはとりわけ 親の大きな期待や願いが
託されているのに違いない
私たちが普段無造作に口にしている
人やものの名前も
そう考えるととても意味深く思えてくるのだ
ものの名前を私たちはもっと気持ちを込めて
口にしてみよう
そうすれば 人やものへの愛情がもっともっと
深くなっていくだろう