不幸か 幸か
断崖絶壁のその壁のわずかな岩棚に
しがみつくように太い松の木が生えていた
そのたくましい幹と根の太さに
おもわず目を奪われる
がっしりと岩を抱きかかえ
決して落ちまいと岩の隙間に
深くしっかりと根を張っている
こんなところに
どうしてこんなに強くたくましく
この木は生えているのか
偶々種が運ばれた場所が悪かったのか
そんな不運をものともせず
芽生えた場所を自分の生き場所と
固く決意して根を張ったのだろう
人間のように自分の不運を嘆く心が
もしもこの松の木にあったら
決して生きていけなかったかもしれない
けれど、そこが自分の居場所、生き場所と
受け入れたこの木はひたすら
そうやって生きてきたのだ
困難なこの場所でどうやって生き抜くか
この木は必至でそれを探り
与えられた環境の下で見事に
太くたくましく根を張り
美しいいのちの姿を私たちに見せてくれている
快適な環境に生まれ育ち
苦労なく育った人間が必ずしも幸せと
いえるだろうか
人間としてたくましく美しく
立派な人間に成長できるだろうか
むしろ、逆境のなかで厳しくつらい
困難な生活を送らなければならなかった人が
どんなに素晴らしい人間として成長したか
私たちはよく知っている
何が幸福で何が不幸か
生まれ育った境遇に、めぐってきた災難に
不幸せを嘆いても何も解決はしない
自分の立ち位置をしっかり受け止め、生き方を見定めれば
本当の幸せはきっと自分の心が決めるものかもしれない