自作詩歌 木洩れ日の記憶
  迷 惑


あなたに迷惑をかけるからと
その人は、私の申し出を固辞した
「迷惑」とはなにか
私たちも人に迷惑をかけるなと教わってきた
そして できるだけ人に迷惑をかけないように
生きていきたいと思っている


けれど 誰にも少しも「迷惑」をかけずに
生きていくことなどできるのだろうか
なぜなら 私たちはいつもほんとうは
たくさんの人との繋がりのなかで
人の支えを受けて生きているからだ
「迷惑」とはなにか
人に余計な労苦を強いること
そう考えると人の助けも簡単には
求めたくない気持ちにもなる
しかし
それでは人の絆は細くなるばかりだ
人と人との距離も心も遠くなる
人に助けを求める気持ちがどんどん萎えていく
それでいいのだろうか
そうしていま孤独のうちに亡くなる人もいるのだ
いや 迷惑はかけるものだ
人はもともと互いに迷惑をかけ合いながら
生きていくのだ


こんな時代を作ったのはだれか
自分のことしか考えない
他人のことは眼中にない人間の
傍若無人の行為が人のひんしゅくを買うのだ
そんな人間の横行する世の中に
人に迷惑をかけるなという思いが
広まったのだ


人への感謝の気持ちと心をこめて
「御迷惑をおかけします」と笑顔で言いあえる世の中に
余計なおせっかいに笑顔が返ってくる世の中に
お陰様でということばが真に生きている世の中に
早くしたいと思う