自作詩歌 木洩れ日の記憶
おしゃべりな川
                

何をそんなにしゃべることがあるの
おしゃべりな川よ
ぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃと
昼も夜もなく一日中しゃべってもまだあきずに
どうしてそんなにしゃべることがあるの
でもほんとうに不思議なことに
私はおまえのおしゃべりをいつまでも何時間でも
じっと聞いていたい
どんなに長く聞いていてもなぜかあきないのだ。
川辺の草地や岩に腰を下ろして
じっとおまえのおしゃべりを聞いているだけで
ひとりでに私の心は落ち着くのだ
山も木も空も花やたくさんの生き物たちもみな
おまえの話にいつもきっと耳を傾けているだろう
天が泣いた日 おまえは大忙しで
その涙を集めてはるかな地平まで送り届けていたね。
百年一日休むことなくしゃべり続けてもまだ尽きない
おまえの話ー―
天地が生まれ 山ができ 平地ができ 森ができ
虫や動物や人間たちが住み始めた悠久の物語を
おまえはことごとく話して聞かせようというのか
そうして今日もこの世界の悲喜こもごもの出来事を
ぺちゃぺちゃと陽気にしゃべりながら
すべて流れにのせて
遠くの海まで運ぼうというのか
川よ 川よ
そうだ、そうやっていつも同じように
おしゃべりを続けておくれ
おまえの軽やかなおしゃべりを聞いているときは
私たちはつねに平穏で幸せなのだ