自作詩歌 木洩れ日の記憶
  妻への恋歌
             

もう熱く肌を重ねることも久しくなくなったが
いつも心は離れることはなかった。
傍らにねむる妻の安らかな寝息を聴いていると
不思議なこころの安らぎと
子守唄でも聴いているような無限の安ど感に包まれている
共働きをしながらあまり役にも立たない夫に不平もいわず
家事にも仕事にも決して手を抜かず
三人の子供をりっぱに育て上げた妻 
ぐずで気の利かない夫は
始終繰り返すへまを妻にたしなめられながら
いつも子どものように適当に小言を聞き流し
おろおろと妻のあとをついて回る
私より先に私を残していかないでねと笑った妻に
うんといって笑った私だが
自分がひとり残されたら私は生きていけるだろうか
まだまだ元気な二人だが
いつかどちらかが先に旅立つのはわかりきった真実
どうしてそんな別れがくるのかと
もうそんなことを考えている自分を笑い飛ばしたいが
二人で歩いてきた道と歳月を思いながら
歳相応に増えた妻の顔の小さな刻みに無限の愛しさを感じつつ
いまあらためて思う
私は妻を愛している
いやいま 心底妻に恋をしている