自作詩歌 木洩れ日の記憶
    別 離      


仕事が終わると
僕の心は弾んでいた
その人はいつもくったくない笑顔で私を迎え
私たちは幾度も出会っては笑い、楽しく語り合った
そうして僕の心は
秋の空高く上がっていく風船ように
大きくふくらんでいった。
ある日僕は思い切って
隣町のコーヒー店へ彼女を連れ出した
僕の想いを黙って聞きながら
差し出しされた小さなプレゼントに
彼女はすまなそうに
「わたし―――
………いるの」
そういうと彼女の眼から涙がこぼれた
惜別の時間が静かに流れ
別れの記念になったプレゼントを
わたしは無理やり彼女に押し付けて
言葉少なく私たちは席をたった
送っていく車中
彼女は終始無言で外を眺めていたが
私たちは明るく手を振って別れた。
早い秋が道の両側の木の葉を薄く染め
夕日が紅く照らしていた

帰宅して物憂げに沈んでいる私に
どうしたの?
――――ふられたの
そういって母はやさしく微笑んで
黙って部屋を出て行った
堪(こら)えていたものが一瞬(いちどき)にこみあげ
涙があふれた