大切なもの
大切なものは
財布や金庫の中にはない
地位でも財産でもない
それは、空気のように
いつも見近にあって
あることが当たり前のように
いつも私の側に在るから
それは失ってみて初めてわかる
私の宝物
どんなにかけがえのないものであったか
そのとき初めてわかる
けれどそれでは遅すぎる
在ることがあまりに当たり前のように
わたしは思っていたから
気付かなかったのだ
けれどそれは
だれにでもおこる
いつか突然自分の側から消えてしまう
その時初めて気がつくのだ
それが自分にとって
なにものにも取り換えのきかない
どんなに大切なものであったのか
そうしてわたしは思う
それらのもの
それらのことに
どうしてもっと早く気付かなかったのか
私がどんなに鈍感だったのか
人間はいつも大切なものにとりかこまれて
生きている
けれど、それをいつもどんなにぞんざいに
どんなに粗末に扱ってきたのだろう
そう思って見直せば
私の周りのすべてのものが
私を取り囲むすべてのひとが
こんなにも愛おしく私に見えてくるのだ