ひと夏の記憶


夏の午後雷雨のあとに日の差せば 蜘蛛の巣揺れて風の光りぬ


通り雨駆け抜けしあとくっきりと 舗道の上に線を引きたり


満月の赤く翳りて欠けゆける 古代の人の畏れ偲ばむ


墓石に筆跡残す母もまた 建立者より墓碑へ移れり


千の風今日も大空吹き渡る 八月十五のわだつみの空


夕焼けにトンボの翅の光りたり 幼き日々に暫しもどりぬ