風 ―そよぐいのち―
蝉しげく陽炎ゆれる酷夏の いち鈴の風万感の涼
読みかけの本のページをめくりゆく 話のつづき急き立てる風
堤より快風うけて飛び立てり 白き機影の滑りゆく青
何事に腹据えかねて当たりたる 大木つかみ泣き叫ぶ風
窓たたき外をごらんと誘い来る 落ち葉を集めワルツ舞う風
穂を垂れる黄金の稲田めでながら 実りの季節歌いくる風
風なくばすべての景色とまりたる 蜻蛉の夢カンタンの声
風なくばコロンブスにも会わざりき いにしえの船いにしえの国
風に乗り渡れるものは鳥に蝶 われらが夢も風に乗せてむ
風うけて綿毛を遠く飛ばしたる あくる季節をどこに夢見ん
願わくば風となりゆき叶えたし あまたの願い遠近(おちこち)の夢
彼方より吹き来る風よつたえてよ 異国の香り街のざわめき
今日明日気ままに風と旅行けば 一期の出会い数多(あまた)あるらん