自作詩歌 木洩れ日の記憶
 憎しみ


憎しみは人の心のもっとも強い感情
憎しみは消えない
憎しみは消せない
なぜこんな激しい感情を
人は持ち続けるのか
それは自分にしかわからない


悲しくつらい心の傷
どんなに忘れたいと願っても
決して消えない心の痛み
いや忘れることなど絶対できないのだ
憎んで憎んで憎みぬくこと
それしか心を鎮めることなどできないのだ



けれど憎んでも憎んでも
憎むほどに深まる心の痛み
それは決して癒されない心の傷痕
つまらぬいさかいや言動を根に持ち
恨みに思い 危害におよぶ人間など論外だが
自分たちにこんなに理不尽に加えられた暴虐
同じ苦しみを与えてやりたいと思う復讐の心は
きっとだれしも抱くに違いないのだ
どうすればこの憎しみを癒すことができるのか
いくら泣いても元に戻らない現実
泣いて泣いて泣きつくしても
どうにも消えないこの苦しみ
こうしてこの世界には日々理不尽な殺人が
数限りない憎しみが毎日のように生まれている
さすれば相手に同じように
いやそれ以上に値する復讐をくわえれば
自分の心の痛みは消えるだろうか


いいや
それはきっといっときのことだろう
そんなことをしてもこの悲しみや苦しみは
癒えることはないだろう
そして、同じ悲しみや憎しみがまた
向こうで生まれるのだ
憎しみと悲しみの連鎖
憎しみは何も生まないと人はいうけれど



ではどうすればいいのだ
ひとは自分が受けたひどい仕打ちを
その仕打ちを激しく憎み
そしてそれを行った人間を憎む
憎む相手を求めずにはいられない
その相手を探し
激しく激しく憎む
現代では復讐はゆるされないが
復讐への感情は骨の髄まで達している
形の上では法律が
法廷が一応それをさばいてくれるが――
けれどそれをもたらしたものが
人間ではないこともある
天を恨み自分の不幸を嘆くこともある
恨む相手がいないときは
戦争や民族紛争や部族間の対立の場合もある
それこそまさしく激しい憎しみの
連鎖を生みだすだろう
人間は憎しみを消すことは
決してできないのだろうか
それは人間社会の宿命なのか
それは人間の持って生まれた業なのか
罪を憎んで人を憎まず≠ニ
古の賢者は言ったそうだが
いまだに私には答えは見つからない



けれど
人はいつかきっとその憎しみを
愛とやさしさに変えていくだろう
それは
その悔しさと辛さと悲しみを
誰よりも深く 深く知っているから